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認知症のある施設入所者への活動的介入はQOLを改善させるか?

認知症のある施設入所者への活動的介入はQOLを改善させるか?

老人ホームに入所されている認知症高齢者に対する活動的介入(運動療法やADL練習)が、QOL向上に有効化を検討したランダム化比較試験です。

【概要】
認知症のある老人ホーム入所者87名が対象となりました。
①ADL練習+運動療法、②ADL練習、③運動療法(有酸素運動+筋力トレーニング)、④通常のケアの4群に無作為割付を行い、3ヶ月後、6ヶ月後にフォローアップ評価を行いました。
ADL練習を行なった群では、全体的なQOLが向上し(p = 0.02)、特にケアリレーションシップ(ケアとの関係性)において改善を認めました(p = 0.009)。また6ヶ月後には全体的なQOL(p = 0.004)、ポジティブな自己イメージ(p = 0.002 )、および居心地の良さ(p = 0.001)に有効でした。
ADL練習を行なった群は、その他の群に比べてADL自立度は改善しませんでした。

【感想】
認知症の有無や、在宅/施設に関わらず、あらゆるケアがQOLや笑顔、自己決定などに繋がっていることが重要だと思います。
すべての認知症をお持ちの方に、ADL練習や運動療法が望ましいということはありませんが、「認知症の方にADL練習なて...運動療法なんて...」という先入観は危険をはらんでいると思います。
本研究では介入そのものの効果を判定するためにRCTで分析していますが、実際のケアでは自己決定や意欲を確認しながら、QOL向上が期待できる活動的介入を、利用者さんと一緒に探していきたいものです。
ADL練習はADL自立度を向上させるためだけではなく、運動療法は運動機能を向上させるためだけではない事に留意する必要があると思います。

【原著】
The effects of movement stimulation on activities of daily living performance and quality of life in nursing home residents with dementia: a randomized controlled trial.
論文の詳細はこちら→ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29750023

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