経管栄養は健康関連QOLを向上させるのか?
経管栄養は健康関連QOLを向上させるのか?
概要
経管栄養と生活の質(QOL)に関する14件の論文がレビューされ、3つの領域が特定されました。
①早期/後期の経腸経管栄養療法のQOLに対する効果。
②標準治療と比較した胃瘻造設術後の患者のQOL。
③経腸栄養のQOLに対する影響。
論文では①〜③の領域について系統的レビューが試みられています。
一部抜粋して紹介します。
胃瘻造設は栄養失調状態と比較した場合、胃瘻からの経腸栄養の方がより多くの臨床的利点、患者の快適さ、機能的状態、より良いQOLをもたらします。
経腸経管栄養を受けている患者に関連するうつ病などの身体的合併症や心理的影響もあります。依存への恐怖や日常生活の活動を行うことができないことは、患者のQOLに影響を与える可能性のある経腸経管栄養の課題の一部としています。また経腸経管栄養は、家族生活、親族、社会活動、趣味への影響といった潜在的な課題を抱えています。
(上記は論文訳の一部です。リンク先から全文をPDFでダウンロードできます。)
感想
胃瘻などの経管栄養は「延命治療」や「短絡的」といったネガティブなイメージが強くなりすぎていると感じます。
場合によっては意義を問うべき延命治療となることもありますが、基本的には生活の質(QOL)を向上させるための一つの手段として認識しておくべきだと思います。
在宅医療分野において、しばしば「治療的なことは何もせずに、天寿が尽きるのを受け入れる」という選択が美談のように語られることがあります。しかし、治療的な介入が天寿が尽きるまでの生活の質(QOL)を保つことになる場合も多いということを忘れてはならないと思います。
経管栄養によって得ることと失うことを整理して、意思決定を支援する必要があると思います。
原著
The Effect of Enteral Tube Feeding on Patients' Health-Related Quality of Life: A Systematic Review
論文の詳細はこちら→ https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31083338/