VAD装着患者の介護者のQOL・抑うつ・不安の変化は?
VAD装着患者の介護者のQOL・抑うつ・不安の変化は?
補助人工心臓(VAD)を使用している重症心不全患者と介護者のQOL・抑うつ・不安に関する縦断的な調査研究です。
【概要】
VAD植込前、VAD植込1ヶ月後、3ヶ月後に患者本人と介護者のQOL(EQ-5D・VAS)、抑うつ(PHQ-8)、不安(BSI)を調査しました。
患者本人はQOL・抑うつ・不安ともに大幅な改善を示しましたが、介護者のQOLは大きく低下し、抑うつ・不安は残ったままでした。
【感想】
LVADのBTT(Bridge to Transplant:心移植までの橋渡し)の選択基準の一つに「本人と介護者が長期在宅療養という治療の特性を理解し…」という記載があります。
介護者となる家族がいないことがVADの相対禁忌となるほど、介護者の存在が重要とされています。
実際的なサポートに加えて、家族(患者)の命を託されているという重圧・責任・後悔などが介護者に課せられることになります。
VADは重症心不全患者の生命予後だけでなくQOL・うつ・不安を改善する有望なデバイスですが、その代償として介護者のQOLが損なわれている可能性があることを認識し、介護者へのサポートも検討する必要があります。
【原著】
Quality of Life, Depression, and Anxiety in Ventricular Assist Device Therapy: Longitudinal Outcomes for Patients and Family Caregivers.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27811585